Jの衝動書き日記

さらりーまんSEの日記でございます。

漢とはかくあるべき。たぶん。

昨日、エンディミオンの事を書いたら思い出した事があった。ある騒動について自分なりの見解を書こうと思ってたのだが、いろいろドタバタして忘れていたのだ。完全に時期を脱しているが、まあ思い出したので書いておこう。その騒動とは、かの「かんなぎ」騒動である。

事の発端は、かんなぎというアニメに登場する人物(というより神様?)が過去に男と嫌な思い出があったことを伺わす場面があり、それが転化して処女ではなない、ということになり一部のファンを激怒させたというものだった。そんな話だったと思う。まあ、その是非はともかくとして、ヒロインに男女の関係があった人が居た、というのはかなりの衝撃を男達に与えるというという認識は持っていて頂きたい。まあ、現実でも自分の彼女に男が居て、しかも関係があった、というのを知るのはいい気分ではないだろう。おそらくは。

まあ、これを念頭にいれてエンディミオンの話をする。この物語の主人公ロール・エンディミオンも上記のような境遇へと晒されるのである。先に申し上げるが、エンディミオンは恋愛小説ではなく、SFである。それも屈指と言ってもいいものだ。ただ、今回の話の焦点を合わせるためにいろいろすっ飛ばしている。その前提で話をすすめる。

さて、ロール・エンディミオンとその恋人・アイネイアーの関係は簡潔に述べると、知り合ったのはアイネイアーが12歳の時で、そこから冒険の旅に出て、様々な障害を乗り越えてとある処に行き着く。この過程で2年程。そこから3年程、同士と共に建築を学び、5年程別れて、再び再会する。恋人関係となるのは、この再会した時である。ロールの年齢は34歳ぐらいだったろうか。ちなみに初めて知り合った時は、28歳の時だ。妹みたいに思ってた存在が恋人になるという奴である。・・・簡略化しすぎだろうか。ちなみにロールの年齢が実際の歳と同期していないのは宇宙船で5年ほど航行していたからだ。船内時間は8ヶ月程だが、実際は5年程ロールは宇宙船に缶詰だったことになる。

さて、再会後、ロールとアイネイアーは恋人として愛し合う訳だが、その初めての夜の後。ロールは少々疑念を沸くのである。そして読者も疑念を沸くわけである。あれ?何かおかしいな。描写がアレだなぁと。まあ、端的に言ってしまえば処女ではないんぢゃないの?と言う事ではあるが。

ロールもそれが頭の片隅に残っていたようで、しかも別れていた5年の間にどうしてもアイネイアーが教えてくれない空白の2年間があった。なので、使命を果たすために旅に出る前日に、ふとそんな事を聴いてしまうのである。「誰かとセックスしたことがあるの?」と。そして返ってきた答えが「あの時が初めてではなかった」である。

あぁ、やっぱりねと思いつつ、そこは大人のロール。衝撃を受けつつも何とか堪えられた。まあ、過去の事だしね、仕方ない、という言い訳で心の嵐を抑えることに成功した、ようにみえた。しかし、話はそれだけでは終わらなかったのである。

私結婚しているの

まさかのギガインパクト炸裂である!この衝撃は計り知れない。頭にかかと落しを食らったようなものである。実際食らったことはないが。え、誰と? あんなに仲良かったじゃない。しかも別れる時は愛している!とも言ったし、実際ロールは運命の相手だったのではないか。ロールも同様に衝撃を受けてかなりうろたえた。ただ狂乱しなかったのはすごい。しかも話はこれだけでは終わらない。

子供も出来たの

ギガインパクト10連ぐらいだろうか?待ってくれ。それは無いだろう。5年もロールが宇宙船に缶詰にされていた間、アンタ何やっていたのよ。正直、この時急速に心は冷えた。何か事情があったのか?と問い詰めても決して答えてはくれない。気丈なアイネイアーがただ泣くばかりである。ロールも頭を冷やしてくると、外に飛び出てしまった。心の状態を表すように外も雨であった。

もうかんなぎ騒動など目ではない状態である。こんな状況を耐えられる男など居るのだろうか。単に付き合い始めた相手がバツ一でした、という話ではない。自分と親しく、しかも別れ間際に愛している!とまで言った女性が、さらに再会したときも変わらず、それ以上に愛情を向けてくる女性が、結婚していて、しかも子供が居るという状況なのである。また、そういった事情も教えてはくれない。しかもその行為自体を恥じる、というわけでもない。むしろ誇りに思っている感もある。発狂しても文句は言えなかろう。

しかし、このロールという男、いや漢。受け入れてしまうのである。訳を知ったからではない。結局アイネイアーは最後まで訳は話してくれなかった。それにも関わらず、使命を果たす旅に随行し、変わらずアイネイアーを守り、愛していくのである。そして悟る。

過去がどんなものであろうと、未来にどんな恐ろしいことが待ち受けていようと、今こうしてぬくもりを感じることが出来るのが重要であると。許す、というのではない。受け入れ共に立ち向こうことを誓うのである。これで一度冷えた心に温かさが戻った。もの凄いかっこいい。まさしくヒーローだと思った。そして話は終局に向かっていくのである。その後の展開は昨日書いたとおりだ。アイネイアーが死んだ後は、子供を守ることに己の使命を見出していくのもまた泣かせる。アイネイアーを守れなかった贖罪なのかもしれないが、彼女を丸ごと愛していた証なのかもしれない。

というわけで、漢だぜ!ロールだというお話。


ちなみに昨日書いた通り、話はハッピーエンドなのである。ヒントはアイネイアーの言葉にある。

私が愛したのはあなたよ、ロール

これに尽きる。実際その通りなのだから。